タイヤに表示される「ロードインデックス」は、そのタイヤ1本がどれだけの重さに耐えられるかを数値で示した指標であり、軽貨物車の安全性や車検適合性に直結する極めて重要な情報です。数値が高いほど耐荷重性能が高く、積載量の大きな軽貨物車ではロードインデックスが法定基準を満たしていなければ車検に通らないです。これは見た目では判断できない性能であり、正しい知識が必要になります。
以下は代表的なロードインデックス数値と、その耐荷重(kg)をまとめた一覧です。
ロードインデックス |
耐荷重(kg) |
72 |
355 |
73 |
365 |
75 |
387 |
77 |
412 |
79 |
437 |
80 |
450 |
軽バンや軽トラにおいて、最も使用されるロードインデックスは73~80の範囲であり、とくに「145R12 6PR」や「155/65R14」のサイズが装着されることが多い。このときの適合性判断には、軸重と積載量、タイヤサイズに対応する指数を照らし合わせる必要があります。
また、タイヤには「PR(プライレーティング)」という耐荷重の強化を意味する表記もあります。「6PR」や「8PR」などの数値は、タイヤの内部構造を示し、通常よりも高い空気圧に対応可能であることを意味しており、結果として耐荷重能力も向上します。ロードインデックスとPRを同時に確認することで、より正確な適合判断が可能になります。
軽貨物車において、タイヤの選定時にもっとも重要となるのが「軸重」です。軸重とは、前輪または後輪の1軸にかかる重量のことで、車検証の「前軸重」「後軸重」の欄に数値が記載されています。これを正確に把握せずして、適切なロードインデックスは判断できないです。
前軸重が670kg、後軸重が880kgと記載されている軽バンであれば、最低でも前輪には1本あたり335kg以上、後輪には1本あたり440kg以上の耐荷重性能を持つタイヤが必要になります。これを下回るタイヤを装着していた場合、保安基準違反として車検に通らない可能性があります。
軸重とロードインデックスは1対1で対応する関係にあるため、正確な理解と計算が求められる。加えて、タイヤの空気圧や荷物の積載状態によっても実際の荷重分布は変化します。特に後輪に多くの荷物がかかる構造を持つ軽貨物車では、後軸重が前軸重を大きく上回ることがあるため、後輪のタイヤにはより高い耐荷重性能が求められる。
積載重量を増やす目的でインチアップをしたり、純正よりも幅広のタイヤを装着するユーザーもいますが、タイヤサイズを変更すると軸重に対する耐荷重のバランスが崩れるリスクがあります。これは外径の変化がメーター誤差や車体への干渉、燃費悪化にもつながるため、慎重な選定が求められる。
タイヤの外径や幅、空気圧の調整が適切に行われていない場合、見かけ上は適合しているようでも実際には軸重オーバーとなり、タイヤの破損や車体破損といった重大事故の原因となります。
また、車検は通っても、実際の運用で積載荷重が増えると、タイヤに過度な負荷がかかり、以下のようなリスクが現実のものとなります。
- タイヤバーストの危険性
- ブレーキ性能の低下
- 空気圧過剰上昇による変形や偏摩耗
- 保険適用の除外対象となる可能性
- 荷崩れや横転事故への発展
注意すべきなのが、スタッドレスタイヤやエコタイヤなど、一部の製品では見た目が同じでも耐荷重が異なる点です。乗用車用タイヤの流用は一見コストを抑えられるように思えるが、ロードインデックスの不足により、重大な法令違反や事故を招く可能性があります。
車検の際には「装着されているすべてのタイヤのロードインデックスが軸重を満たしているか」がチェックされており、最近では検査員による数値確認も厳格化されてきています。かつてはグレーゾーンで通っていたタイヤでも、今では明確に「不合格」となる例が増加しています。
安全で確実な運用のためには、単なる車検合格ではなく、日々の実運用に耐えるタイヤを選ぶ姿勢が求められる。軽貨物車の用途が多様化している現在、そのタイヤに求められる役割も進化しています。だからこそ、ロードインデックス不足という見えにくいリスクに、確かな知識と判断で立ち向かうことが、プロドライバーとしての責任であり、信頼の証とも言える。